Resistance(Rebellion: Series 2 リベリオン: シーズン2) [2019 RTÉ]【前編】ネタバレなし・ドラマの概要と感想

今回は2019年のミニドラマ。アイルランド独立戦争とその中で起きた血の日曜日事件をベースにした話で、製作のRTÉはアイルランドの会社で舞台もアイルランドのダブリンというアイルランドドラマです。何も考えずにポール・リッター(Paul Ritter)が出てるからって理由でDVDを買ったので、イギリスドラマだと思って見始めて、あれ?ってなったのはここだけの話。←IRAが出てくるドラマくらいの予備知識で見た。

タイトルは『Resistance』ですが、今回のドラマは2016年の『Rebellion(リベリオン)』ってドラマ(1916年のイースター蜂起がテーマで、史実から100周年記念で制作されたもの。それが今回の独立戦争につながる)の続きです。そのためかNetflixでは『Rebellion: Series 2(リベリオン シーズン2)』ってタイトルで配信されてるみたい。ぜひみんな見てね!

とりあえず主人公たちは前シリーズから引き継ぎつつも、ほとんどのキャラはこのドラマだけの初登場&退場。今回の話だけでも完結してるので、前作を知らなくても楽しめます。

ただし、主人公と相手側双方の組織や背景が分からないと、何をしてるのかよく分からないと思うので、ネタバレなしでざっくりだけど、ドラマの背景や実在の人物、それぞれの組織の話や制服の見分け方などを下のほうで書いてます。


Brendan Gleeson - Brian Gleeson

ちなみに前作に引き継いで主人公を演じてるブライアン・グリーソン(Brian Gleeson)の、お父さんはブレンダン・グリーソン(Brendan Gleeson)、お兄さんはドーナル・グリーソン(Domhnall Gleeson)で、アイルランドの役者一家。お父さん『Michael Collins(マイケル・コリンズ)』に出てたっけ。 実在したCollins’ Squadとか呼ばれた暗殺隊の役の一人を演じてたので、このドラマの息子とまあ似たようなキャラ。と無理やりこじつけ。

 
私はクライムアクションばかり見てるのでジャンルが偏ってるけど、アメドラだとアイルランドといったら移民設定でよく見ます。飢饉の時にアメリカへ移住して苦労した人たちで、アメリカでは少数派のカトリックが多い。移住が遅かったために人のやりたがらない職に就かざるを得なかったりで、苦労して地位も高くない人が多いらしいけど、アメリカのロイヤルと言われてるケネディ家もアイルランド出身だったり、成功した人たちもいる。

『Blue Bloods(ブルーブラッド)』(警察一家のドラマ)がもろに移民ファミリーの物語だったけど、『Crossing Jordan(女検死医ジョーダン)』『City On A Hill』でジル・ヘネシーが演じてた役もどちらもルーツがアイルランドの移民何世みたいな設定だった。前者で美味しそうな料理が毎回出てきて、料理本まで出るので、私の中ではアイルランド=美味しそうなイメージが…。

一方でイギリスドラマだと大体がIRAで、爆弾テロとかしまくってる悪役ばかり…。まあクライムドラマだから…。MI5とかが出てくる場合には彼らの敵としてよく登場してます。『The Game』でもIRAの爆弾魔が出てきてたし。

実際のニュースでも一昔前はIRAテロがよく報道されてたけど、対立の歴史があるからまあそうなると。日本に入ってくるヨーロッパのニュースの多くはイギリスの特にBBC経由が多いからイギリス寄りになるのもあるのかも。

 
けど、今回はアイルランド側が舞台の独立戦争の話ってだけに、IRAメンバー側が主役です。ちょっと新鮮?そもそもIRAってただのテロ組織だと思われてたりもしますが、日本語訳は『アイルランド共和軍』でイギリス統治時代に独立を求めて戦った人たちです。時代的にもこのドラマのIRAはこっち。

前も歴史の経緯は色々あるけど省略。このドラマの時代の後も、北アイルランドをイギリスに残して独立した後は、統一を求めて組織が分裂したりで、イギリスにテロをしたりの組織が主体になった。なのでイギリスドラマで描かれるテロ組織も間違いじゃないと。時間軸で組織や目的も変わってるのね。今は落ち着いてるけど。

※『アイルランド共和(国)軍』としてのIRAは、一般的には1919-1922年までの独立戦争を戦った旧IRAと、1922-1969年までのIRAを指し、近年のニュースで出てくるテロ組織としてのIRA(暫定派)等はそこから派生しているものの民間武装組織であり別物とされてます。

もっと詳しい時代背景は、『The Wind That Shakes The Barley(麦の穂をゆらす風)』のところで書いたので、そっちも見てね。

 
ということで、今につながる歴史の中の数年の物語なわけですが、古い歴史ドラマだと侮っていたら、超面白いドラマでした!これは年明け早々から大当たり!

まず、銃でバンバン撃ちまくりの殺伐としたクライムスリラーだし(いきなりそれかい)、IRAもイギリス側も互いの動向を探るためスパイを送ったりの情報戦だし、裏切者が出たり逆に庇ったりで男も女もガンガン死にまくるし、ドキドキハラハラで一気に全5話・5時間弱を見てしまった!登場人物もたくさんで色々な組織や対立が出てくるけれど、それぞれの人生の選択肢も描かれる群像劇スタイルで、当時の時代背景や史実とも重ねて考えさせられたり。

硬派なだけじゃなくてちゃんと私の好みも押さえてて、みんなスーツだし、中でもさらにおハイソスーツ(つーかおハイソ&時代古すぎてモーニングコートなんだけど)の慇懃無礼なイギリス紳士(おっさん)も出てくるし、しかもそれがポール・リッターで、どちらかというと悪役で脅してたりするし、射撃も披露してたし、『The Game』の時はかろうじて小指立ててなかったのが立てちゃうし。もう100点満点だよ!笑。←あほです。

RTÉ『Resistance E05』
これは超シリアスなシーンなんだけど、こんなの見せられたら笑うし、惚れてしまうじゃん。笑。
Resistance(Rebellion リベリオン Series 2)

おへそまで毛深いのに脱いで身体張って笑わせてる『Friday Night Dinner』(コメディ)も、上目遣いでたどたどしく喋るかわいい殺人鬼『Chasing Shadows』も、死体の内臓つまんでへらへらしてる天才法医学者『No Offence』も、部下脅して原子炉ふっ飛ばしてる『Chernobyl(チェルノブイリ)』の悪役ぶり(史実はこっち)も…以下略、素敵だったけど、やっぱり『The Game』で好きになったので、おハイソなイギリス紳士役が一番好みです!イギリスのおっさん俳優に求めるのはそれだよ、それ!力説。

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まあ我に返ると、アイルランドの歴史にもドンパチにもおっさんにも興味がない人には、ひたすら殺し合いしてる殺伐としててちょっとぐろいドラマかも…。スパイ合戦はやってるけど先に答えが画面に出てるので、犯人探しの要素はあまりないし、ロマンスとかほのぼのはほとんど期待できません。まあそれ期待してこれ見る人はいないよね…。

お薦めしたいのは、ノワールとかマフィア映画、ドンパチが好きな人、スパイ映画みたいなのが好きな人、前作を見て面白いと思った人、そしてアイルランドの歴史とか、どういう争いだったかを知りたい人とか。

 
どうでもいいところとしては、DVDの裏パッケージに、上でも書いた『Crossing Jordan』にも出てるミゲル・フェラー(Miguel Ferrer)そっくりの方が写ってて思わずまじまじと見てしまった。何故なら彼はアメリカ俳優だから…ってより、2017年にお亡くなりになってるので。けど別人でクレイグ・パーキンソン(Craig Parkinson)って俳優さんでした。動いてるとこは全然違ってた。

似てるよね?
Resistance(Rebellion リベリオン Series 2)

 
他にも、最後に反条約派IRAリーダー役で出てたキース・ダンフィー(Keith Dunphy)って(たぶん)アイルランドの役者さん、イギリス刑事ドラマ『No Offence』でもアイルランドギャング役で出てきたし、『Peaky Blinders(ピーキー・ブラインダーズ)』でもIRA役でいきなり歌ってたし、IRA映画の『The Wind That Shakes The Barley(麦の穂をゆらす風)』にもIRAボランティア役で出てたりで、いつもそういう役やってるなーと思ってたら、時代ものとかSWシリーズにも出てるらしく、やっぱ私が見てるジャンルが偏ってただけだった…。とか。演劇の人らしい。

Resistance(Rebellion リベリオン Series 2)

ガラ悪い役ばかりやってるねーじゃなくて、私がガラの悪い人が出てくるドラマばかり見てるだけと…。
 

ざっくりしたドラマの背景・史実とか(ネタバレなし)

さてここからは真面目に。ドラマの時代設定は1920年代。アイルランドはまだイギリスの支配下だったため、首都にあるダブリン城(The Dublin Castle)にイギリスのアイルランド総督府が置かれていました。このドラマでは『The Castle』とか呼ばれてる。

そこでIRAの関係者や行動を洗い出したり、スパイを送り込む諜報活動をしていたのがイギリスから派遣された陸軍GeneralであるOrmonde Winterです。今回ポール・リッターが演じてるのはこの人よ。

「General」って言ったら「大将」とか「将軍」とか訳すんでしょうか。日本語版はなんて訳されてるのか気になります。しかし日本語にすると、山下清かちょんまげの松平健しか浮かばない、とっても日本的な脳みそを持ってる私…。なので「General Winter」はあくまでも「General Winter」でお願いします、sir!

彼は実在の人物で、おハイソなモーニングコートを着て諜報活動をしていたのも事実。小指立ててたかは知らないけども。

実在の彼はヘビースモーカーで優れた馬術者でカードゲームが趣味だったそうで、このドラマでは食事のシーンまでモクモクしてるし、カードゲームやってるシーンも出てきてますが、さすがに馬は乗ってない。代わりにオフィスに馬の絵が飾ってある。

そんなGeneral Winterを名前の頭文字「O」って呼んでいたり、一緒に射撃をして外していたり、彼が後にイギリスへ戻る際も後処理をしていたのが、ダブリン城の管理をしていた英国役人のMark Sturgisで、こちらも同じく実在した人物です。例外として彼はお役人だったので中立な立場で、イギリスとアイルランド側の調整的な交渉事もやってる。

The Last Days of Dublin Castle:
The Mark Sturgis Diaries

実在のMark Sturgisがダブリン城での日々を綴った日記は、後に出版されてる。

 
支配側は彼ら英国陸軍(British Army)及び補助部隊(Auxiliary Division; Auxies)、英国秘密情報部(MI6)と英国保安局(MI5)、王立アイルランド警察隊(Royal Irish Constabulary; RIC)とそこに組み込まれてるブラック・アンド・タンズ(The Black and Tans)など。

実戦部隊としては、AuxiesとRICとTansの人たちが混ざって活動してたりしますが、見分け方としては上下カーキの制服が軍人で、上下モスグリーンがRIC、ブラック・アンド・タンズは上が緑で下がカーキ。

RTÉ『Resistance E03』
三者の上下が分かって一緒に画面に収まってるシーンが意外となかった。
Resistance(Rebellion リベリオン Series 2)

その中でも主に復員兵で構成されるブラック・アンド・タンズは特に無法者の集まりで暴力的で凶悪だったようで、民間人を襲ったり町を焼き討ちしたりもしてて、アイルランドでは100年経った現在でも忌み嫌われているらしい。

このドラマでもジャーナリストを拷問して殺したり若い娘の髪の毛刈ったりと残酷なことをしてる。結婚予定で家の頭金を貯めるために志願してきたという若い軍人がそれを止められずに罪悪感覚えてるシーンがあったりします。

 
一方で彼らの敵であり主人公側は――アイルランドの独立を求めて『アイルランド共和国』を宣言した政治組織が、現在も野党一派に残ってるシン・フェイン党(Sinn Féin)。実際にも、先ほどの選挙で躍進してたニュースが流れてました。そして彼らの実働軍隊がアイルランド共和軍(IRA)。ついでに言うと下の記事の第1党の共和党=フィアナ・フォイル(Fianna Fáil)も、エイモン・デ・ヴァレラ(Éamon de Valera)が内戦後にシン・フェイン党(Sinn Féin)を離れて作った政党。

2020年2月11日 BBC JAPAN  実際のニュース

このドラマに出てた中では、共和国の歴代大統領の一人アーサー・グリフィス(Arthur Griffith)とか、活動家であると共にIRAの諜報部門の指揮もしていたマイケル・コリンズ(Michael Collins)も実在の人物です。他にもエイモン・デ・ヴァレラ(Éamon de Valera)も、(実際もこの時代はアメリカにいたので)名前だけの登場してます。

前作からの続くドラマの主人公Jimmy Mahonは彼らの機動部隊であるアイルランド共和軍(IRA)メンバーですが、これはフィクションキャラ。

他にもジャーナリストのRobbie Lennoxや、ダブリン城で暗号解読をしてたUrsula Sweeneyって女性、最後にいきなり登場していながらカッコいい台詞を吐きまくってた眼鏡の人Liam O’Faolainなど、フィクションキャラだけど実在のモデルがいるって人たちも出てきます。が、どこの部分か書くとそのままドラマのネタバレになってしまうので、後編ページの最後に追加しときました。→『実在モデルのいるキャラクター』

 
とまあ、実在・フィクション混ぜつつ、敵も味方も複数の組織や固有名詞が入り乱れてのドラマなわけですが、現地の警察隊や仕えてる人たちは同じアイルランド人同士なので、実は兄弟とか、親族なのを隠してたりとか、誰が敵か分からない面もあったりする。また一般市民や富裕層の中にもIRA支持者がいて彼らの行動を支えたり。

ドラマ内では、出資者のリストとか国勢調査の資料とかいろんなものからつながりを割り出してるシーンがあったり、アメリカから来たアイルランド系上院もイギリス側と交渉しつつ、彼らの支持者で助けてたり。

実際もイギリス側が諜報活動に力を入れていたのは、そういう隠れた活動家や賛同者たちの情報を掴んで弾圧して統治するため。IRA側も対抗してそんなイギリス側の情報を得ようとしたりやり返してる。

――というのがこの時代の戦争で、このドラマで描かれる話です。なので『独立戦争』って言っても戦車やミサイルが出て来るような戦いじゃなくて、暗殺とゲリラ戦。IRA側の機動部隊(Flying columns)は英国軍とは武力も数も全然違って敵わないので、そういう手段が取られた面もあるらしい。

史実だとアイルランド独立戦争は1919-1921年で、1920年11月21日には血の日曜日事件・Bloody Sunday(1972年1月30日にも同名のIRAテロ事件があってそっちの方が有名)が起きて、1922年に英愛条約(Anglo-Irish Treaty)を結んで、アイルランドは北アイルランドを残して『アイルランド自由国』を建国します。ドラマはこの辺で終わる。

けどそれはそれでまた新たな火種を生むわけで、あくまでも共和国を求める側と、自由国側とに分かれて内戦が起こります。そんな中でマイケル・コリンズも倒れ――、神格化されて映画化されるに至ってる。

1920年11月21日 血の日曜日事件(Bloody Sunday)

午前 
The SquadとかCollins SquadとかThe Twelve Apostles(十二使徒、ここだけカッコいいのはなぜ)とか呼ばれてたマイケル・コリンズ指揮下のIRA暗殺隊によって、カイロ・ギャング(Cairo Gang)と呼ばれたスパイ組織のメンバーの英国陸軍将校、RIC、民間情報提供者を含む12人が殺害された。

午後 
サッカー場で補助部隊・RICメンバーが群衆に発砲。14人の民間人が死亡し、60人が負傷。イギリス側の公式発表では、観客の中にIRAメンバーが紛れ込んでいたとされているが、実質はイギリス・RIC側によるIRA(と彼らを支持するアイルランド市民)への報復とされる。

夕方 
ダブリン城内で、3人のアイルランド共和軍(IRA)捕虜が殺害された。午前の部の暗殺に関わった者とされる。※1人はボランティアでIRAの正式メンバーではなかった。

※どちらも被害が出てるけど、イギリスの諜報活動を頓挫させたことから、IRA側の勝ちとされてるらしい。最近の研究ではカイロ・ギャング(Cairo Gang)という組織名は1950年代以降に付け加えられたものという話も出ていたり。

ちなみに当時の日本は大正時代。第一次世界大戦が終わり大恐慌が来たのが1920年。そして1923年には関東大震災が起こってます。今回のドラマはそんな時代の遠い異国の物語。

ネタバレありの後編へ続く。

Resistance(Rebellion: Series 2 リベリオン: シーズン2) [2019 RTÉ]【後編】ネタバレ感想とモデルになった人物話