Love/Hate [2010-2014 RTÉ] 【後編】ドラマで見るアイルランド(ダブリン)英語&スラング講座?!

さて前回に続いて、放映当時アイルランド人の4人に1人が見たという伝説のドラマです。と言っても【前編】では普通にドラマの話をしましたが、今回【後編】はドラマで使われていた特徴的なアイルランド(ダブリン)英語とスラングコーナーです。15個挙げてみました。

このドラマはアイルランドの首都ダブリンを舞台にしたクライムドラマで、リアルなアクセントとか言い回しが話題になったそうで、前編でも書いたけどもフツーにわかりやすく作ってる100年前が舞台の時代ドラマよりも聞き取りづらい話し方してました。それをここでは取り上げます。

ドラマの内容知らずに、アイルランドの英語コーナーとしてここだけ見ても一応は成立するようにしてますが、あくまでもドラマ『Love/Hate』に出てきた表現なので、このドラマはガンガン人が死にまくりのギャングドラマなので、表現も偏ってる可能性は大いにあります…。

Love/Hate [2010-2014 RTÉ] 【前編】ネタバレ感想

それと私は英語の先生でもないし、ここは英語のサイトでもないので、細かい解説はアイルランド人(一般人)の受け売りです。元々の趣旨は今までアメリカドラマやイギリスドラマ、アイルランドドラマも色々見てきたけども、このドラマは他ではあまり聞かない特徴的な言い回しとかが多いので、調べたついでに公開してみたって感じです。

そして欧米は行き来が多いので、アイルランド英語と言っても他の国でも使うとか、聞いたことあるとかあるかもしれないので、きっちり分かれてるわけではないと思う。なので「ほかの国では使いません」てわけでもないです。

それとこのドラマは2010~2014年放映とちょっと前のものなので、特に流行り廃りの激しい若者言葉なんかはすでに死語になっていて、今では使わないってのもあるかもしれません。

 

1. Garda/Gardaí

いきなり英語の話じゃない!ってのをぶち込んでみました。アイルランド語です。警察のことです。正式名称『Garda Síochána』で一般的には「Garda(Gardaí)」と呼びます。

隣国イギリスのBBC Newsではこんな表記

Love/Hate

アイルランドは基本英語を話しますが、下院が『Dáil Éireann』で上院『Seanad Éireann』、郵便局は『An Post』、病院は『Ospidéal』とか、大きな(公共?)施設はイギリス統治を離れた頃にアイルランド語由来の名称になってるそうな。まあ深く考えずに、日本も「Police」を日本語で「警察」って呼ぶよね、というような感じ。

Love/Hate

『Dáil Éireann』は1919年に政治政党Sinn Féinが『アイルランド共和国』を宣言した独立戦争幕開けのエピソードがあるので、下の「RIC」と共に100年くらい前のアイルランドの歴史物にも出てくる単語です。厳密に言うとその当時と今のとは組織体系が違って別物らしいが。

そして同じ日の戦争開幕エピソードのもうひとつが、IRAが「RIC」を襲って爆弾を手に入れたというもの。イギリス統治下の警察は『RIC(Royal Irish Constabulary, 王立アイルランド警察隊)』という名前でした。ドラマだと大体はイギリス軍の元でIRAを取り締まる敵として出てきますが、休戦して英愛条約結ぶ辺りで解散し、いろいろあって現在の「Garda」に変わってます。

 
というのが基本で、それ以外にもアイルランド特有のスラングとかあるそうで、そっちもドラマにいろいろ出てきます。

まずは「Guards」。ガードです。ドラマではこちらの言い方の方が多かった。ニュアンスとしては、「警察」が「Garda」、「お巡りさん」が「Guards」みたいな使い分け?←テキトー。

こっちは警察の「ガード」

Love/Hate

普通、アメドラやイギリスドラマでは(日本も)、「guard」と言ったらガードマンか護衛を指してますが、アイルランドの場合は警察を指すのです。――と必ずしも言えないのが、また紛らわしいのよ。

こっちはガードマンの「ガード」

Love/Hate
「the Guards」と固有名詞化されてるのは警察を指してて、「guard」は護衛の方みたいな。その辺文脈で判断みたいな。画像だとガードマンの方が単数なのはこのドラマだと一人だからで、たくさんいたらどちらも複数形です。

 
Love/Hateそれ以外だとフツーの呼び方、「police」「cop」なんかの表現も勿論使われてるし、「copper(s)(『Peaky Blinders(ピーキー・ブラインダーズ)』でも警察をそう呼んでたけど、copのヨーロッパでの古い表現)」とかも言ってた。更に仲間同士の隠語では「Old bill」も出てきたけど、これもイギリスでもよく使われる呼び方らしい。

Love/Hate

……って、普通の人が警察の呼び名をそんな気にする必要もないけどね。Policeで通じます。

 

2. What’s the story?

このドラマではめちゃくちゃ出てくる。会うたびみんな深刻な顔して聞くから、最初はストーリー=話=進捗みたいな意味で、「その後はどうなった?」って聞いてると思ってました。が、初対面の人にも聞いてるぞ、半分以上は問いに答えてないぞ、おかしいなと気づいた私。

基本の(?)使い方

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問いに答えてない?のは何故かというと…


基本は「最近どう?」って挨拶らしい。「What’s happening?」「How’s it going?」みたいなのと同じようなダブリンスラング。

応用編?

Love/Hate
ただの挨拶なので基本説明は求めてないけど、たまに「with 誰々」みたいに付け足して「誰々の様子はどう?」って尋ねてたり、近況答えてたりするシーンがあるように、「なんかニュースある?」的なニュアンスもあるそうで直訳でも方向性は間違ってなかった。

応用編2?ちゃんと問いに返答してます

Love/Hate
 
ちなみに単語だけ見ると特に問題なさげな響きですが、カジュアルすぎる表現なのでビジネスとかでは使わないんだってよ。最初に書いたようにドラマではみんな連呼してたけど、みなさんギャングだからね…。

 

3. What’s the craic?

「craic」はニュースとかゴシップとかって意味で、「なんかニュースある?」要するに「最近どうよ?」でこれも挨拶らしい。上の「story」が「craic」に変わっただけだけど、これはダブリン以外でも使うとか。

Love/Hate

こっちは「ニュース」の意味で使ってる

Love/Hate

 

4. Howya?

これも挨拶のバリエーション。上よりはわかりやすい。語尾がyaみたいになるのは他国でもあるけど(若者言葉?)、アイルランドは特に多い気が。「See ya」みたいな使い方ね。語尾に「Will ya?」ってつけて急かしてるのもよく出てきてたけど、そういうドラマだからかもしれない。

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5. おまけ。How’s she cuttin’?

これはドラマに出てこなかったけど、ダブリンに限らずアイルランド全域で使われるそうで、ついでに紹介。これも「最近どう?」で挨拶です。直訳すると「彼女はどうやって切断したの?」なので、誰かが誰かをバラした告白かとドキドキしそうです。あほです。

語源は私の知り合いの説だと、一人はアイルランドは農業国だったので餌のない冬用に牛さんの飼料(silageって干して四角くしたやつ)を用意しなくちゃならなくてそれの調子を聞いたとこから来てるって、もう一人は船員が船のプロペラが海を切る時の調子を尋ねたことからって、……全然違うんだが。まあどっちでもいいけど、答えを知らないとまず意味が分からない系。

……って挨拶時点で挫折しそうですが。

 

6. Grand

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「grand」もよく出てきました。大きくふたつの意味があって、一番目は挨拶に対する返答とかでよく使う「Ok」「fine」的な使い方。「Don’t worry=大丈夫」的な使い方もするようで、場合によっては「まあまあ」みたいなネガティブも含む感じ。

Love/Hate

Love/Hate

 
二番目がお金のスラングでgrand=1000。これはアメドラでも(ちょっと悪そうな人が出てくるジャンルでは)死ぬほど出てくるけど、同じ使い方してる。ただ単位がユーロなので、アメリカドルと違って金額が私にはすぐ出てこなくて「日本円でいくら???」ってなる。

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7. Fair play

カタカナだとフェアプレーです。スポーツ用語です。なので「フェアにやれ」って言ってんのかなと思ったけど終わってから言ってたから「フェアだった」って褒めてんのかなと思ったら、ちょっと違って「よくやった」だと。「well done」なんだってよ。

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似たようなのに「Fair enough」もあるけど、こっちは「それで充分=了解」って意味。これはアイルランドに限らず出てくる。

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8. I’m wrecked.

直訳すると「私は大破した」。アイルランドでは「I’m very tired.=とても疲れた」ってことらしい。大破=ボロボロって感じ?言われればなるほどと。

Love/Hate

Love/Hate

 

9. Gas

ガスです。日本だと火をつけると爆発する台所のコンロ回りを呼びますが、厳密にはそこから出てくるもの含めた「気体」って意味です。私たちがガスって呼んでるのは「ガス燃料」のこと。

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そこから派生してるのかどうかは知りませんが(おい)、英語では「gas」に「面白い」とか「楽しい」って意味もあるんだとか。アイルランドの場合は主に人に使われることが多くて、要するに「面白いやつ」ってこと。「fun」や「funny」なんだって。なんでガスなのかは謎。誰も知らなかった。※諸説あるらしい。

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10. Fella

これは男の人を指す単語でイギリスドラマとかでも出てくる。アイルランドの場合、更に彼氏とか夫を示すのにも使う。「my fella」でうちの旦那、「your fella」であんたの旦那、みたいな。「oul fella」は「お父さん」とか。「little fella」で息子とかちびっこを指してたり。

Love/Hate

アメリカでもおじいちゃんがたまーに使う表現らしい。そのおじいちゃんがアイルランドから来てた可能性は高そうな。

 

11. Ma & Da

父母を示す単語は「Mom」がアメリカで「Mum」がイギリスだっけ?とか地域差もありますが、アイルランドだと「Ma」と「Da」。そのまんまな省略形ですが、カタカナだと「マー」「ダー」って急かしてるみたいです。そしてちょっと中国語っぽい?嘘です。

Love/Hate

Love/Hate

これはアメドラとかでもアイルランド系の人の台詞でもよく使われてるので、多分他の国の人にもわかりやすい「アイルランドらしさ」が伝わる言い回しなのでは。

 

12. Gaff

家のことを「gaff」と呼ぶのは、アイルランドスラングだそう。と言いつつイギリスの一部でも使うらしい。

Love/Hate

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13. その他

「Thick」が「厚い」じゃなくて「愚鈍」みたいな罵倒語だったり、「Cool」とかすごく良いを「Savage」って逆の意味の単語で形容して大げさに言ってたり。←これはアイルランド英語ってより若者語かな。

超カッコいいスバルインプレッサWRX STIが襲撃に使われてました…。

Love/Hate

こういう直訳と実際の意味が違う(別の意味になってる)パターンは、多分私が気付いてないのもたくさんありそう。場合によっては英語圏の他の国の人でも???なのもあるかも。

 

14. 覚えなくていいけどたくさん出てくるヤツ

ドラマ見てて一番連呼してたのは、みなさんお馴染み「f*ck」から「bullsh*t」「prick」とかのアメドラでも聞く単語、ご当地語の「bollox/bollocks(後者はイギリス綴りらしい)」とか相手に悪態つく時のお下品な単語ばかりでした。

アイルランド語から来てるという「eejit」って言い方もある。字面がかわいいけどこれも「ボケ」とか「アホ」とか罵倒語です。

Love/Hate

どれも言われた側が怒る悪口なので使わないようにしましょう。――ということでこのドラマは面白かったけど、最初にも書いたようにギャングドラマなので英語の勉強にはお勧めできません…。

 

15. 番外。(Do) you know what I mean? You know what I mean.

Love/Hate
ユノワライミ~ンです。これは直訳すると「俺の言う意味わかるだろ」で、そのまま同意を求める言葉です。Do がついたり疑問形になってるのとなってないのがあるけども、どっちも答えを知りたくて問いかけてるってよりも、念押してるみたいな感じ。

Love/Hate
Love/Hate

この言葉はアイルランドに限らず英語で普通に使います。けどこのドラマだとやたらとこの台詞が出て来まくってました。みんな口癖みたいに最後に付け足すから、半分以上は字幕が省略されてたほど。

Love/Hate

で、なんでこれを挙げたかというと、ドラマで連呼してたからだけじゃなくて、リアルの私のアイルランド(ダブリン出身)の知り合いの一人もやたらとこの言葉を口癖みたいに使うから。もしかしたら、アイルランド人が好きでよく使う言葉なのかも?アイルランドの方、どうなんでしょうか。
 

   

ということで、【前編】はドラマの話しましたが、この【後編】はドラマに出てきたアイルランド(ダブリン)英語でした。他では見ない変わった単語や言い回しがいろいろあったのが分かるでしょうか。こういうのがたくさんで早口でアクセント強くてなかなか個性的なドラマでした。面白かったので日本語化されてないのが残念よ。