Freeway フリーウェイ[1996年米映画]の復刻版4K Ultra HD Blu-Rayをゲットした

三つ子の魂百までって前に書いたことありますが、幼稚園の頃の私の将来なりたい職業は「渡哲也」でした。正確には渡哲也のやってた役というかスナイパーかな。私が幼稚園くらいの頃は石原軍団の刑事ドラマが(確か)夕方くらいに再放送されててそれを見てて憧れたわけ。

と言っても覚えてるのは、サングラスの渡哲也がブラインドから覗いてるか狙撃してるのと、石原裕次郎がボスだったのくらいで、その他はバンバン撃ってたのとよく車が燃えてたみたいなとこしか覚えてない。でもとにかく子供心に狙撃してる渡哲也がカッコいいって憧れて、将来あんな仕事するんだと思ったわけです。……大丈夫かお前?って感じですが。安心してください、警察にもスナイパーにもなりませんでしたけど、犯罪歴もない真っ当な大人になりました。

それのおかげか、バンバン撃ちまくりのアクションドラマとかが好きになって、初めて買ったVHSビデオは『Natural Born Killers(ナチュラル・ボーン・キラーズ)』でした。ビデオってとこに時代を感じるだろう?何度も見たし後にDVDでも買い直したもんね。

これはオリバー・ストーン監督作で、家庭事情が複雑な女の子と互いに一目惚れした彼氏が両親殺しから始まってロードトリップ続けながら無差別殺人する話。そのうち彼らはマスコミにヒーローみたいに祭り上げられて――みたいなメディア批判も入った話よ。アメリカでは実際に模倣犯も出たそうで監督が批判されたりもした。

1994年の映画なのでもう約30年前です。だいぶ古いけども、皆さんも古臭い映画なんてーとか言わずに機会があったら見てみてください。スーパーヒーローのアイアンマンが主人公カップルに感化されて弾けちゃって銃ぶっ放すレポーター役やってたり、古い映画は意外な人が出てたりするのも楽しいです。
 

ビネガーシンドロームと4K Ultra HD Blu-Ray

というわけでタイトルとは別の映画の話から入ってますが、今回の『Freeway』もオリバー・ストーンが製作総指揮やっていて、なおかつ今見るとブレイク前の有名役者が出てた作品てところが共通点です。それ誰ってリース・ウィザースプーンが19歳くらいの時の作品。今回アメリカで復刻版が出たのもこれのおかげかも。

他にも当時既に有名だったキーファー・サザーランドとかブルック・シールズとかも出てる映画なのですが、それ故に「有名役者の無駄遣い」とかレビューで書かれてたりで、ストーリー的には正直B級だったのもあってか商業的にはあまり売れなかったのでした。

 
とはいうものの一部ではカルト的に人気だったり、上に挙げた『Natural Born Killers』より面白いって声もあったりしたそうな。そういうのもあっての4K Ultra HD Blu-Ray化ですが、大々的なものじゃなくてこれはアメリカの『Vinegar Syndrome』って会社が手掛けた復刻版。

この会社は往年の映画を復刻したり、制作会社が倒産して日の目を見なかったフィルムの版権を買い取って数十年ぶりに映画リリースしたりしてて、今回の『Freeway』も元は1996年の映画ですが、去年10月にリマスターしたのを出してくれたわけです。

Vinegar Syndrome は、主に 1960 年代から 1990 年代にかけて制作された何百もの長編映画のカタログを持つ、映画の修復および配給会社です。

ホラーとかアクションとかのジャンル物がメインらしくて、ラインナップみるとニンジャとかサムライとかつくB級アクションも多数出してる会社であった…。

 
説明ついでに書いとくと、この会社名になってる『ビネガーシンドローム/ビネガー症候群』ってのは、映画とか写真フィルムのセルロースアセテートの劣化を指してる業界用語だそうな。セルロースアセテートが劣化すると酢酸が発生してお酢臭くなるんだと。だからビネガー症候群。転じてこの会社は、フィルムが劣化してそうな古い映画の保護とか復旧をしてる会社ってわけ。

 
で、今回私が購入したディスクの『4K Ultra HD Blu-Ray』についてもざっと書くと、普通のBlu-rayの解像度の4倍の画素数って意味。Blu-ray自体がDVDより6倍画質がいいとされてるので、6倍の更に4倍って――とにかく画質がとっても良くなった!その代わり『4K ULTRA HD Blu-ray対応プレイヤー』が必要になるし、再生するソフトとモニターの解像度も対応するものが必要です。

DVD<Blu-ray<Ultra HD Blu-rayと光ディスク界はどんどん高解像度に進化してるけども、プレイヤーもソフトも(モニターも)IT機器は基本的に新しく出たやつは古い機種では見られないので、Ultra HD Blu-rayを見たい場合はそれ用のが必要です。ただしUltra HD Blu-rayに対応してれば、それより古いフツーのBlu-rayとDVDは見られる。

Ultra HD Blu-rayのメリットとしては、高画質はもちろんだけど、DVDとBlu-rayでは国ごとに設定されてたリージョンコードが廃止されてリージョンフリーになってます。

ロジテック 外付け ブルーレイドライブ
Blu-ray USB3.2 Gen1(USB3.0)
動画再生&データ書き込みソフト付 UHDBD対応

※パソコンの外付けディスクなら1万くらいで買えるので、新しく買うなら互換性を考えてUHDBD対応がお得ではあるけども…。

まあでも、規格がいろいろあって分からない!UHDBD対応プレイヤーなんて持ってないよ!って場合用に(?ない人は買わないか)、今回の『Freeway』は普通のBlu-rayもついてきてます。リージョンAだけど、Blu-rayは北米と日本は同じリージョンなので見られます。

『Pokemon Detective Pikachu(名探偵ピカチュウ)』の英語Blu-rayの時は、Blu-ray・北米DVDと配信ダウンロードIDと3種類で見られますってセットになってたけども、アメリカのBlu-rayとかたまに同じ映画の違う規格のディスクが複数ついてくるよね。謎配慮。

それだけじゃなくて今回私が手に入れたバージョンは8000枚のみの限定版でスリップカバーが特別だとかいろいろ書いてあった。他にも特典として1996年当時のものと今回の復刻に当たってのものと、監督や役者のインタビューなんかも入ってる。

サイトの説明・翻訳コピペ

https://vinegarsyndrome.com/products/freeway
追加情報;
リージョンフリー 4K Ultra HD / リージョン A ブルーレイ セット
ハイダイナミックレンジで提示される4K UHD
35mm のオリジナル カメラ ネガから新たにスキャンして 4K で復元
脚本家/監督のマシュー・ブライトによる新しい解説トラック
ライター/ディレクターのマシュー・ブライトによるアーカイブ解説トラック
“Vulgarity is Timeless” (31 分) – ライター/ディレクターのマシュー ブライトとの新しいインタビュー
“Producing Freeway” (18 分) – プロデューサーのブラッド ワイマンとの最新インタビュー
“Changing Lanes” (17 分) – 編集者 Maysie Hoy との最新インタビュー
「To Catch a Predator」 – 俳優のヴォルフガング・ボディソンとの最新インタビュー
“You’re Under Arrest” (12 分) – 俳優ロバート ピーターズとの新しいインタビュー
“Murder Twins” (24 分) – 女優の Leanna Creel と Monica Lacy への最新インタビュー
マシュー・ブライト監督のアーカイブ インタビュー (15 分)
女優アマンダ・プラマーのアーカイブ インタビュー (3 分)
作曲家ダニー・エルフマンとのアーカイブ インタビュー (5 分)
エグゼクティブ プロデューサーの Oliver Stone とのアーカイブ インタビュー (8 分)
共同プロデューサーのサミュエル・ハディダとのアーカイブ インタビュー (8 分)
生の舞台裏映像 (6 分)
オリジナルの電子プレス キット特集 (6 分)
オンセットの「サウンドバイト」インタビュー
オリジナルの予告編動画
R指定カットの代替シーン
リバーシブルスリーブアートワーク
英語SDH字幕

どうだすごいだろう。すごすぎてよくわからないのもあるけども。これを今回手に入れたって話です。撮影当時のリース・ウィザースプーンやキーファー・サザーランドやブルック・シールズのインタビューとか撮影風景とかも入ってるので、彼らのファンの人はぜひ買おう!

その代わり値引きで37ドル+送料だし、日本から頼むとしたら海外送料でざっと7000円超え。しかもアメリカの会社のリリースなので英語しかない。私はVinegar Syndromeの公式サイトから直に買ったけど、他はアメリカのAmazon.comでは予約販売してたけど、日本のAmazon.co.jpじゃ扱ってないし。

長々書いてるけども、結局こんなん買うのはマニアだけだろ!って感じですが。インタビューとかいらないからもっと安く日本語でこの映画自体を見たいって人は、Amazon.co.jpにフツーに昔出た日本語版のDVDが売ってます。中古とかは送料入れても数百円とかで千円しない。最初に言えよって?

 

 
日本語版のタイトルは『フリーウェイ 連鎖犯罪/逃げられない女』ってなんか妙な副題ついてたりしますが、私も日本語版のDVD持ってますよ。って、なんでそんな買い直してるのって言ったら、この映画には私の好きな俳優も出てるからなんですが!

リース・ウィザースプーンが演じる主人公バネッサの義父で、髪染めて全身変な入れ墨入ってて、奥さん売春させるわ、詐欺で仮釈放中なのに麻薬でラリッて未成年の義娘に手を出すロリ○ンだわのサイテーな役で序盤に奥さん共々逮捕されてます。ファンの信仰心を試されるようなビジュアルとひでー役ではありますが、まあこの程度じゃ棄教しませんよって。見られるだけで幸せです。

Vinegar Syndrome『Freeway』
義理娘に手を出してボコられてる義父役。。

そして今回は役の内容はともかく、彼を通常DVDの6倍のBlu-rayの更に4倍の高画質で見られるってよ!ってのが私が飛びついた理由です。マジで画像キレイだよ。

そっちに脱線すると誰も興味ない話になっちゃうのと、10年くらい前に隔離サイトの方で書いてるので、軌道修正して今回は映画の話を真面目にします。ここからはネタバレよ。

 

あらすじとかネタバレとか

まずこの映画は、コメディ&スリラーというかアクションみたいな。話のベースはグリム童話の『赤ずきん』です。少女がおばあちゃんに会いに行こうとするとオオカミに狙われるってアレ。

この映画には1999年に同脚本家作でやっぱりグリム童話の『ヘンゼルとグレーテル』がベースになってるキャスト別の続編『Freeway II: Confessions of a Trickbaby(トリック・ベイビー)』ってのが出てます。

そっちはヴィンセント・ギャロがカルト教祖やってたりの話で主人公からメインキャラからほぼ総とっかえだけど、私の好きな俳優はそっちにも出てるんだな。主人公たちに惨殺されるヤク中ホームレスの役で!でもそっちの映画はこの映画以上に売れてない。でも一応は日本語化されてる。

つーわけで、どちらも私の好きな俳優がロクでもない役やってるってところからも推測はできますが、これらの映画、童話ベースにしつつロクでもない人らが出てきてガンガン亡くなる映画なのです。

  

※『Freeway(フリーウェイ 連鎖犯罪/逃げられない女)』と
続編?『Freeway II: Confessions of a Trickbaby(トリック・ベイビー)』

 
今回の映画の話に戻ると、赤ずきんちゃんが主人公バネッサで、ずきんの代わりに赤いジャケット着て赤いカゴ持ってたりする。物語は彼女の学校シーンから始まる。黒板の文字もろくに読めないけどアフリカ系の彼氏チョッパーがいて友達にも囲まれてる。

けどモーテルである家に帰ると、家の前の通りでミニスカートのママが客引きしてるし、部屋ではヤク中の義理父がラリッて彼女に手を出してくる。それをボコボコにして撃退しつつバネッサはテレビ見てる。テレビではハイウェイで若い売春婦を殺してる連続殺人鬼のニュースやってたり。

そんな矢先にママが売春の囮捜査で逮捕されて麻薬も見つかってしまう。警察が家に踏み込むとちょうどバネッサが義理父に押し倒されてるとこで、義父もママと一緒に逮捕されちゃう。

両親がいなくなって、未成年のバネッサはまた何度目かで里親の元へ行かされそうになるのを、実のパパの母親であるおばあちゃんがいるからって、保護観察官を出し抜いて車を奪っておばあちゃんの元へ向かおうとする。

けどもハイウェイですぐに車が壊れて、通りかかったボブって男が助けてくれる。こいつが連続殺人鬼でオオカミなんだけど、最初は親切で車に乗せてくれてバネッサも気が付かない。

ボブは運転しながら児童心理のカウンセラーとか自己紹介しつつ、バネッサが里親のおじいちゃんに襲われそうになった話とか、義父に襲われた話とか下ネタ語らせてムフフ笑いしてるむっつりスケベ。誘導されて途中まで素直に話してたバネッサもだんだんおかしいって思ったのか、遂に切れて、こいつがテレビでやってた連続殺人鬼だってことにも気付く。

それで対峙しつつ紆余曲折はあるけど、バネッサはおばあちゃんの元へ向かい、先回りしておばあちゃんに成りすましてたボブと再度対決すると。ほらねベースは赤ずきんちゃんでしょ。

説明端折った紆余曲折の部分が面白いとこなので機会があったらフルで見てくださいって感じですが、童話だと猟師に助けてもらうってオチだったけど、こっちは自力で退治してるのが違う。というか猟師…というか刑事が役に立ってない。

 
主人公バネッサの環境は底辺も底辺で、両親は何度も逮捕されてるし、15歳にして既に本人も放火や盗みの前科が何度もあるし、貧困の悪循環とか負の再生産とか呼ばれるそのまんま。子供向けテレビ見ながらフツーにビール飲んでるし後には飲酒運転もしてるし。口もとっても悪くてf*ckとsh*tは連呼だし、刑事の一人に煽られてNワードで応戦しちゃうし。

同級生の彼氏もギャングで裁判判決控えてて、彼女がおばあちゃんの元へ向かう際に一緒に行けずに対立相手に撃たれてるし。女友達も小6の時に彼女と一緒に売春しようとして捕まってたりと底辺揃い。警察も最初はバネッサが言うことを信じてなかったりして。対するボブは表向きは心理学者で社会的信用もあって美人の奥さんもいて裕福だから、警察もメディアもこっちを信用しちゃう。

けどもバネッサや周りのキャラは全然陰鬱じゃなくて、それが「当たり前」の環境にいるから悲壮感もなくて前向きに生きてる。何度も逮捕されるママも娘を愛してて娘もママを愛してるけど、売春して薬買っての生活から抜け出せないのも受け入れてる。

手を出してくる義父のこともまじむかつくって撃退してるけど、敵と違って流血してないし手加減してる。彼はクズだけど凶悪犯罪はしてないとか庇うシーンもあるし。未成年に手を出すのも犯罪ですけども…。バネッサが銃ぶっ放してから神様に懺悔してるシーンでは、ちゃんとママと彼と恋人の祝福をお祈りしてるし。ムカつく変態でも家族ではあるのよ。

Please bless Mama, Larry and Chopper.
Amen.

更には義父に教わった歯ブラシを炙ってナイフにする方法で脱走したり、生き方を学んでもいる。底辺の環境でなければ役に立たない知識だけどね。

バネッサはそういう環境ながら自分の正義を持ってるから、底辺仲間は誰も彼女を悪く言わないし、それを知って刑事たちも彼女の言うことを信じるようになったり。

 
ストーリーとしてはそんな感じですが、描写的にはちょっと血とかグロいところはあります。一方でロリシーンを期待してる人がもしいたら、そっちはないです!と言っておこう。リース・ウィザースプーンのファンにも安心して見られる映画です。ほんとかよ。

役者自身も当時未成年だったからね、最近も50年以上経って未成年時代にヌード強要されたとか1968年映画『ロミオとジュリエット』の制作側が役者に訴えられてたニュースがありましたが、それが通るくらい通常ハリウッドは未成年の性的描写には配慮するので、この映画の描写も服の上から触ってるくらいよ。

台詞も大人はエロ単語口にしてますが、バネッサは暗喩表現です。男の人のアレを「his “you know what”」って言うとかさ。まさしくアレなんですけども、真面目な私は暗喩が分からず検索してしまったし…。ボブが隠してたロリコン雑誌が発掘されてるシーンも『Young girls』とかってタイトルの文字がなかったら熟女が制服着てる本にしか見えなかった…。

一方で上で書いたように未成年役者もf*ckとかは連呼してる。うーんアメリカの配慮基準ってよくわからない。

とはいうものの、グロいシーンも陰惨な感じじゃなくて割とテンポよくサクサク進んでくのでコミカルではあります。主人公が大事にしてる死んだ実父の写真は実在する連続殺人鬼リチャード・スペックの写真だったりとか(本人はこれがパパと信じてる)分かる人にはわかるブラックな笑いもある。

 
日本語DVDが出た当時の日本のamazon.co.jpのレビュー見るとキーファー・サザーランドが主役やってた『24 -TWENTY FOUR-』の話しが出てて、当時はそんなドラマが人気だったなと懐かしくなりますが、英語版のレビューとか見ると、近年になって観てる人はほぼリース・ウィザースプーンのファンみたいな。

そしてこの映画は「面白い!最高!」って人と、「時間の無駄・つまらない」って人に極端に分かれてる!笑。こういうノリとか設定がダメな人にはとことん駄目な映画なのかもしれない。

ついでにリース・ウィザースプーンはその後にラブコメの女王とか呼ばれたりしてるみたいですけども、そういう要素も全くないのでロマンス期待して見てはいけない。でもお化粧濃くてビ○チな格好してても、少年刑務所とかに入る時のすっぴん(風)もどちらも可愛いよ。