City On A Hill Season1 [2019- Showtime] 一部ネタバレ・ドラマの概要と感想

久しぶりな王道?アメリカクライムドラマです。予告編から、ガラの悪い人たちが出てきてバンバン撃ち合いしてるし、ドラム缶入りの死体を川にドボンしてるし、面白そうって思ってずっと見たかったんだよね。←頭おかしい。だってそういうの好きなんだもん。まあリアルじゃ遠慮したいけどフィクションだしさ。最近はイギリスドラマばかり(というかポール・リッターばかり)見てたので、たまには原点回帰です。

City On A Hill

これは今年2019年の6月にアメリカで公開されたドラマ。まだ新しい。シーズン1は全10話。本国では次シーズンが決定したらしい。今のところは日本での公開予定もないようですが、アメドラは日本でも配信されやすいので、そのうちどこかで出てくるかも。なのでドラマの紹介も、ざっくりした感じでネタバレなしとありで分けて書いてみた。

製作は『Billions(ビリオンズ)』と同じShowtimeです。ほんとはそっちを見ようってアメリカの友達にお勧めされたんだけど、Showtimeの配信一覧見ててこっちに目が行って先に見てしまった。『Billions』のシーズン1は見たことあったし、続きも日本でも見られるし。と言いつつ続きが出たら一気にまとめて見ようと思って早数年。これもそのうち感想書きます。まだ全部追いついてないけども…。

City on a Hill: Season One
Showtime Ent.[DVD]

※英語字幕版が12月3日に発売予定!

まずはネタバレなしのドラマやキャラクターの紹介

さてこのドラマのタイトル『City On A Hill』は直訳したら『丘の上の街』でほのぼのファミリードラマを連想しそうだけども、タイトルは聖書が由来です。教会で言ってるシーンがあるから間違いない。

マタイによる福音書 5章14節
You are the light of the world. A city on a hill cannot be hidden.
あなたがたは、世の光である。山の上にある町は隠れることができない。

そしてこのフレーズは1630年にアメリカへ入植した清教徒(ピューリタン)の指導者であり政治家であるジョン・ウィンスロップが掲げた『City upon a Hill』って話につながりますが、これもドラマのベースになってるようです。

For we must consider that we shall be as a city upon a hill, the eyes of all people are upon us.

この辺の概念は『アメリカ例外主義』とか『丘の上の町 アメリカ』とかでぐぐってみてください。世界の模範たる理想の国であれという理念です。とは言っても、そんなの全然知らなくてもドラマは楽しめますが、知ってれば製作側の意図も掴めるかも。

 
このドラマはベン・アフレックとマット・デイモンがアイディアを出してプロデューサーに名を連ねてるって点でも話題になっていましたが、役者としての彼らのファンの人には全く好みじゃないジャンルではと思います…。笑。だって描かれてるのは腐敗と暴力、家族、人種対立。腐敗は主人公Jackieだし。

舞台は1990年代初めのボストン。人種差別がまだ厳しかった時代だそうですが、1話の最初には実際のボストンの殺人事件『チャールズ・スチュアート事件』に言及するところから始まってます。

これは1989年10月23日の晩、車に乗っていたチャールズ・スチュアートという男と妻が襲われる事件があり、彼がアフリカ系アメリカ人の不審者に妊婦の妻が殺されて強盗されたと訴えたこと、重体の妻から帝王切開で取り出した赤ん坊も亡くなったことでマスコミでも大きく取り上げられ、現地の人種間緊張が激しくなる中、警察はチャールズの証言に当てはまる容疑者を探し出したけれど、兄弟の証言で実はチャールズ自身が仕組んだ保険金詐欺だと分かり、彼の自殺で終わった――という事件。
https://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Stuart_(murderer)
※CBSの警察24時みたいな番組中に事件が起きたらしい。

 
そしてこのドラマの登場人物の多くは、どちらもアメリカでは立場の低い、アイルランド系とアフリカ系アメリカ人たちであるようで、前者の女性陣は首から十字架やメダイ提げてたりで、みんな信心深い。ただしみんな口悪くてガラも悪いし善人はほとんどいなくて、お祈りしつつ強盗へ行くとか、ゴッドファーザーみたいな。

ケビン・ベーコン演じるFBI捜査官のJackieは、1話からスキットルで酒飲みながら登場してるし、やたら偉そうで、アメドラによくいる「すべての台詞にf*ck付けないと死んじゃうの?」って言いたくなる系の主人公。『Chernobyl(チェルノブイリ)』でディアトロフが何回f*ckって言ってるか数えたくなったって書いたけど、こちらのJackieはオープニングクレジットが出る前のドラマ開始数分でぶっちぎってます。笑。数秒に一度は言ってる勢い。日本で公開されたらぜひ字幕版で見て音声聞いて、どれだけ連呼してるか聞いてほしいくらい。まあ他の人もみんなひどいんだけどね。

その奥さんJennyが『Crossing Jordan(女検死医ジョーダン)』のジル・ヘネシー。私いまだに『Crossing Jordan』の好きな俳優がゲストで出た回は延々見てるんですけど(→その4話分だけひたすら語ってるあほな隔離ページはこちら)、もう15年くらい経ってんのね。さすがに落ち着いた感じだけど相変わらず美人です。

もう一人の主人公でオルディス・ホッジが演じてる地方検事補Ward。ブルックリンで育って苦労して今の地位を掴んだ努力家で、コーヒーショップで白人警官にぶつかられてコーヒーこぼして一触即発になったけど、キレると思いきやそいつにおごってやるとか、差別されてもめげない良いやつ。共稼ぎの奥さんとお洒落なアパートに住んでる。優秀っぽいしこのドラマでは比較的マシな言葉遣い…と思いきや、差別が厳しい時代だから対外的にはちゃんとしてるだけ的な。

Showtime『City On A Hill S01E10』
City On A Hill

 
それ以外でもみんなスラング混じりの崩した喋り方してるけど、英語圏のレビューによると1990年代当時のボストンアクセントが再現されてるらしい。一番荒れてた時代らしいけど、上でも挙げた『Crossing Jordan』は十年ちょっと後の話なのに、そんなひどい言葉遣いしてなかったよ。そんな短期間に変わるものなのか、エリアというか人種とか階級とかで違うのであろうか…。まあ三大ネットワークとケーブルドラマじゃ違うってのもあるか。

 
ストーリーの説明に入ると、1話で現金輸送車を襲う強盗事件があり、警備員3人はドラム缶に詰められてドボンされてしまって、それぞれの立場のJackieとWardが事件を追うことになります。この手のドラマってシリーズ通した謎解きテーマがありつつ、一話完結の事件ドラマになってるのが多いので、これもそうかと思いきや、10話かけてこの事件とそれにまつわる人間関係を追いかけてます。犯人たちも分かっていて、彼らを追い詰めていきつつ、Jackieの腐敗も暴かれそう――というスリラードラマです。

犯人側を含めた主要登場人物の家族のエピソードなども時間を割いて描かれてるので、底辺暮らしな人たちの家族ドラマでもある。なので思ったほどバンバン撃ち合いとかはない。そして途中でだれるところも正直あり。

正反対の性格・属性のJackieとWardの二人が主人公なわけですが、対立を経て一緒に捜査するうちに認め合う――というアメドラ王道パターンになるかと思いきや、前者の腐敗を後者(正確には仲間の地方検事捜査官たちが)追い詰めて、機転ですり抜けられて――って追いかけっこになってる。こういう構図は、『Billions』と似ている部分かも。ただこの争いは「次シリーズ決定」ってニュース見た時点で、逃げ切ったのねってオチが分かってしまうわけだけど。

それぞれのエピソードタイトルもアメドラにしては凝ってる。
S01E01 The Night Flynn Sent the Cops on the Ice
S01E02 What They Saw in Southie High
S01E03 If Only the Fool Would Persist in His Folly
S01E04 The Wickedness of the Wicked Shall Be Upon Himself
S01E05 From Injustice Came the Way to Describe Justice
S01E06 It’s Hard to Be a Saint in the City
S01E07 There Are No F**king Sides
S01E08 High on the Looming Gallows Tree
S01E09 The Deaf Sage of Pompeii
S01E10 Mayor Curley and the Last Hurrah

 

ここからはネタバレありのざっくりとしたドラマやキャラクターの紹介

メインの強盗事件の方は、1話で襲撃する側が出てきて、彼らの家族の話もたっぷり語られるので、犯人が分かった上で、強盗の後にそれなりに暮らしてる彼らの生活と、年取った両親も病気になったり、また金が必要になって――って追い詰められていく経過も描かれてる。

犯人兄Frankieは表向きはスーパーで働いて美容師の妻と子供たち3人の計5人で暮らしている。仲間と襲撃してたのは妻も知ってる。何かを目撃してしまった彼らの長女は悪夢が見えて素行が悪かったりで学校でもカウンセリング受けさせられたり問題児。

Frankieの弟がJimmy。見た目はハンサムだけど、Frankieに金せびったり、尻拭いさせてるダメ人間。妻に愛想尽かされて、娘たちとも会わせてもらえない。行きありばったりで頭も悪い感じ。クズ同士でJackieとも内通してて情報提供者(rat)でもある。

なのでJimmyは脅されて事件のことをJackieとかに小出しに教えちゃってたり。車や警備員の死体のありかとか、果てには次の計画とか。そのせいでFrankieたちが追い詰められる羽目になるし、土壇場で裏切ってるしどうしようもない。けどそのクズさを逆手に取って上手いこと利用してるのがJackieで、兄Frankieは一歩足りてなかった。

 
主人公Jackieは脅迫贈賄ありの無茶な捜査して、あきらかにJimmyを利用するために殺人けしかけてたり、本人も邪魔者を排除してたり、殺っちゃってるし普通に犯罪者です。FBIって肩書きでテレビでは正義の人みたいにインタビュー受けてるシーンがあるけども、やってることはマフィア映画のマフィアと変わらない。おかげで恨み買って娘を暴行されてたりもする。きっちり片付けて証拠隠滅してたけど。

そんなやり方なので、一緒に事件を追ってたWardや仲間の捜査官たちも、後半ではJackie自身も捜査の対象にして行くんだけど、悪は栄えるって感じ。次シーズンもあるのでこの関係も続くんでしょう。

私生活では、コカイン吸って中華レストランの娘と浮気して、妻のことは拒むのに、彼女の自立を阻んで義母や妻をサポートしようとする神父を脅してたり、歪んだ家族愛持ってる。愛人が妊娠したら連絡絶って他の女と付き合ってるクズだったりする。邪魔なやつ・敵は潰してるけど、最後には娘の進路や妻の決断を受け入れてたし、娘に捨てられた義母も追い返してたし、妻子に対してはそれなりに情はあるらしい。

Showtime『City On A Hill S01E04』
City On A Hill

信心深くて夫を許せって神父に言われて20年我慢してきた妻Jennyの方は、そんな夫に耐え切れなくなって、娘に馬鹿にされながらあきらめた教師の夢を追うためにまた勉強を始める。夫の妨害にも対抗して徐々に強くなってるし、夫の不倫相手が妊娠して押しかけてきた時にはそっちを庇って夫を追い出してたりもしてる。子供の頃の父親の虐待問題も吹っ切って実母とも対峙してる。その辺は髪型やファッションの変化でも表現されてる。

ファッションも夫の顔色覗ってた最初は大人しくてフリフリっぽかったのが、学校へ行くようになってからはシンプルなシャツとか変わって、離婚を決心したら膝上ミニにタイトな格好に変わってる。このドラマは彼女の成長物語でもある。

Wardと妻は優秀で善人な夫婦だけど、妻は教会牧師の腐敗の告発をしようとしてたりで、ここも夫婦の葛藤がある。同人種間の格差や争いも出てくる。

 
という感じでざっくりネタバレ書いたけど、実際はもっといろいろな登場人物が出てきて複雑な話になってます。悪を追い詰めたり、やられたりのハラハラドキドキ、ぎゃーもありで、なかなか面白いドラマでした。スカッと爽快系の話にはなってないので、爽やか系を求める人には全くお勧めしないけど、それぞれの結論はちゃんとついて終わってる。

悪役好きな私としては、個人的に悪が悪のまま改心せずに終わったところが良かった。悪いことしたやつが裁かれずに逃げ切るのは一般的には後味悪いバッドエンドかもしれないけども。そこは次シーズンにも期待です。

City on a Hill: Season One
Showtime Ent.[DVD]

※英語字幕版が12月3日に発売予定!

Crossing Jordan:
Complete Collection: Seasons 1-6 [DVD]

※ジョーダンも全シリーズDVDが出てるんだけど、
英語音声+season1のみ英語字幕で、それ以降は音声のみ。
私は好きな俳優のとこだけ、気合いで台詞書き取りしました…。